国民年金「追納」のメリット・デメリットを徹底解説!いつ、いくら、どうやって?
国民年金保険料の免除や猶予制度を利用したあなたへ。
「国民年金保険料を免除・猶予してもらったけれど、将来、年金が減るのは困る…」
「『追納』ってよく聞くけど、具体的にどうすればいいの?メリットやデメリットは?」
そう考えているなら、まさにこの記事が役立ちます!
国民年金の「追納」は、免除や猶予で納付しなかった保険料を後から納めることで、将来受け取る年金額を増やし、万一の際の保障を確保できる大切な制度です。しかし、「いつまでに?」「いくら?」「どうやって?」と、その仕組みは少し複雑に感じるかもしれません。
この記事では、国民年金「追納」の具体的なメリット・デメリット、そして手続き方法までを徹底的に解説します。追納を賢く利用して、あなたの将来の安心を手に入れましょう!
そもそも「追納」って何?なぜ必要?
国民年金保険料の「追納」とは、過去に免除や猶予(学生納付特例、若年者納付猶予)の承認を受けて、納付しなかった国民年金保険料を後からまとめて納めることです。
なぜ追納が必要なのでしょうか?
それは、免除や猶予の期間は、将来受け取る年金額には全額が反映されないからです。
例えば、全額免除の期間は、年金額の計算上は2分の1だけが反映されます。つまり、免除期間が長ければ長いほど、将来受け取る年金額が減ってしまうのです。追納することで、この減額分を補い、本来受け取れるはずの年金額に近づけることができます。
追納のココがすごい!見逃せないメリット
追納には、将来の安心に直結する大きなメリットがあります。
メリット1:将来受け取る年金額が増える!
これが追納の最大のメリットです。
免除や猶予の期間は、そのままでは将来受け取る年金額に十分反映されません。追納することで、その期間が「保険料を全額納めた期間」として扱われるため、将来受け取る老齢基礎年金が増額します。
【計算例で見てみよう】
国民年金は、20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)すべて保険料を納めると満額(令和6年度は年間816,000円)を受け取れます。
例えば、12ヶ月間(1年間)全額免除を受け、その後追納しなかった場合:
1ヶ月あたりの年金額の減額分は、満額(816,000円)÷ 480ヶ月 = 1,700円
全額免除期間は年金額に2分の1しか反映されないため、1ヶ月あたり1,700円 × 1/2 = 850円の年金額しか増えません。
追納すれば、1ヶ月あたり1,700円の年金額が将来もらえるようになります。
12ヶ月分追納すると、年間で850円 × 12ヶ月 = 10,200円、将来受け取る年金が増える計算です。(これはあくまで簡易的な計算例であり、実際の年金額は加入期間全体で計算されます。)
たかが年間1万円、と思うかもしれませんが、長期間受け取ることを考えれば、大きな差になります。
メリット2:年金受給資格期間を確実に満たせる!
老齢基礎年金を受け取るためには、原則として10年以上の受給資格期間が必要です。免除や猶予の期間は受給資格期間には算入されますが、未納のままでは算入されません。追納することで、より確実に受給資格期間を満たすことができます。
メリット3:万一の際の「障害年金」「遺族年金」の保障が手厚くなる!
国民年金は、老後のためだけでなく、もしもの時のための保障でもあります。
病気や怪我で障害を負った場合の障害年金、一家の働き手が亡くなった場合の遺族年金を受け取るためには、一定期間の保険料納付要件を満たしている必要があります。
免除・猶予期間はこれらの要件算定に含まれますが、追納することで「全額納付」の状態となり、より強固な保障を確保できます。
メリット4:社会保険料控除で所得税・住民税が安くなる!
追納した国民年金保険料は、その年に支払った金額の全額が「社会保険料控除」の対象となります。
これにより、所得税や住民税の計算のもとになる所得から控除されるため、節税効果が期待できます。
確定申告や年末調整で忘れずに申告しましょう。
追納のココは注意!デメリットと検討ポイント
メリットの多い追納ですが、いくつか注意点もあります。
デメリット1:追納には期限がある!
追納ができる期間は、承認を受けた月の翌月から10年間です。
この10年を過ぎてしまうと、さかのぼって追納することはできません。免除や猶予の承認を受けた期間が古くなるほど、追納できる期間が短くなるため、早めに検討することが重要です。
デメリット2:3年目以降は「加算額」が発生する!
追納には、当時の保険料に加えて「加算額」が上乗せされる場合があります。
これは、免除や猶予を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降になると発生します。つまり、免除や猶予を受けた年度から2年以内であれば、当時の保険料額で追納できますが、それ以降になると少しずつ金額が高くなってしまうのです。
【加算額の例(令和5年度追納分の場合)】
承認を受けた年度の翌年度から2年度目まで:加算額なし
承認を受けた年度の翌年度から3年度目:保険料に一定額が上乗せ
承認を受けた年度の翌年度から4年度目以降:さらに上乗せ額が増加
加算額は年度によって変動しますので、具体的な金額は年金事務所に確認が必要です。
デメリット3:まとまった金額が必要になる
追納は、過去の保険料をまとめて支払うため、ある程度のまとまった資金が必要です。
一度に全額を追納するのが難しい場合は、何ヶ月分かずつ分けて追納することも可能です。無理のない範囲で計画的に進めましょう。
いつ、いくら、どうやって?追納の具体的な手続き
追納のメリット・デメリットを理解したら、いよいよ具体的な手続き方法です。
1. 追納できる期間と金額の確認
まずは、あなたが「いつの期間の保険料を、いくら追納できるのか」を確認しましょう。
日本年金機構から送付される「国民年金保険料追納のご案内」で確認できますが、もし手元にない場合は、お近くの年金事務所または「ねんきんダイヤル」に問い合わせるのが確実です。
2. 「国民年金保険料追納申込書」を入手する
追納をするためには、「国民年金保険料追納申込書」を提出する必要があります。
この申込書は、以下の方法で入手できます。
年金事務所の窓口で受け取る
日本年金機構のホームページからダウンロードする
「ねんきんダイヤル」に電話して郵送してもらう
3. 必要事項を記入し、提出する
申込書に必要事項を記入し、住民票がある市区町村の年金事務所に提出します(郵送でも可)。
追納したい期間を具体的に指定することも可能です。
4. 納付書が届く
申込書を提出すると、後日、日本年金機構から追納用の納付書が郵送されてきます。
納付書には、追納する期間の保険料と、もし加算額が発生する場合はその金額が記載されています。
5. 金融機関などで納付する
届いた納付書を持って、銀行や郵便局、コンビニエンスストアなどで保険料を納付します。
納付書に記載されている期限までに支払いを済ませましょう。
【ポイント】
追納は、古い期間の保険料から順に行うのが原則です。
全額を一括で支払うのが難しい場合は、何ヶ月分かずつ分けて納付することも可能です。その旨を申込書に記載するか、年金事務所に相談してください。
まとめ:追納で未来の安心をデザインしよう!
国民年金の「追納」は、一時的に保険料の納付が困難だった期間を補い、将来の年金額を増やし、万一の際の保障を確かなものにするための大切な制度です。
「10年間の期限」や「加算額」といった注意点もありますが、それらを理解し、計画的に追納を進めることで、より安心して老後を迎えられるでしょう。
「いつか払おう」ではなく、「今、できることをする」が未来の安心につながります。まずは自分の追納可能期間を確認し、年金事務所に相談することから始めてみませんか?