「国民年金、免除しない方がいい?」その疑問に答えます!知られざるデメリットと賢い選択
「国民年金、経済的に苦しいから免除したいな…でも、本当に免除しない方がいいの?」
そう悩んでいる方は少なくないでしょう。国民年金保険料の支払いは毎月の負担になりますが、実は「免除しない方がいい」と言われるのには、いくつかの重要な理由があります。目先の出費を抑えることと引き換えに、将来大きな不利益を被ってしまう可能性があるからです。
この記事では、「国民年金は免除しない方がいい」と言われる理由、つまり免除の知られざるデメリットに焦点を当てて詳しく解説します。さらに、免除を検討している方が知っておくべきポイントや、それでも免除が必要な場合の注意点まで、あなたの疑問を解消し、賢い選択をサポートします。
国民年金、免除しない方がいい3つの大きな理由
国民年金の免除制度は、経済的に困難な方を救済するための大切な制度です。しかし、安易に免除を選択すると、後悔することになるかもしれません。
1. 将来もらえる年金額が減る!
これが最も大きなデメリットです。
国民年金は、原則として20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)保険料を納めることで、満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。しかし、免除期間があると、その分将来受け取れる年金額が減ってしまいます。
全額免除の場合: 免除期間の年金額は、保険料を全額納めた場合の2分の1として計算されます。
4分の3免除の場合: 免除期間の年金額は、保険料を全額納めた場合の8分の5として計算されます。
半額免除の場合: 免除期間の年金額は、保険料を全額納めた場合の**8分の6(4分の3)**として計算されます。
4分の1免除の場合: 免除期間の年金額は、保険料を全額納めた場合の8分の7として計算されます。
例えば、1年間(12ヶ月)全額免除になると、その分将来受け取る年金額が年間で約2万円以上減ってしまう計算になります。免除期間が長くなればなるほど、老後の生活を支える年金額が大きく目減りしてしまうのです。
2. 万が一の時の「もしも」の保障が手薄になる!
国民年金に加入していると、老齢年金だけでなく、現役世代の私たちにも大切な2つの保障があります。
障害年金: 病気やケガで障害を負ってしまった場合に受け取れる年金です。
遺族年金: 国民年金加入者が亡くなった場合に、残された家族が受け取れる年金です。
これらの年金を受け取るには、保険料の納付状況(納付要件)を満たしている必要があります。免除期間であっても、一定の条件を満たせば納付要件にカウントされる場合がありますが、免除せずにきちんと納付している方が、いざという時の保障がより手厚くなるのは間違いありません。特に、免除申請をせずに保険料を「未納」にしてしまうと、これらの保障は一切受けられなくなるため、非常に危険です。
3. 「追納」しないと大きな損をする可能性!
免除制度を利用した場合、将来減ってしまう年金額を補うために、**過去10年以内であれば免除期間の保険料を「追納」することができます。**この追納は、年金額を増やすだけでなく、税金面でもメリットがあります。
しかし、「経済的に余裕がないから免除したのに、追納なんて無理…」と感じて、結局追納しない人も少なくありません。追納しないと、前述の通り将来の年金額は減ったままです。
また、追納には期限があり、過ぎてしまうと追納ができなくなります。免除したけれど追納しないまま放置してしまうと、目先の負担は減っても、長い目で見て**「こんなことなら免除しない方がよかった」**と後悔する可能性が高いのです。
国民年金免除制度の落とし穴:安易な利用は避けよう
国民年金保険料の免除は、以下の条件に当てはまる場合に申請が可能です。
所得が少ない(世帯所得で判断)
失業中
災害に遭った
免除制度には、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の4種類があり、所得に応じて免除される割合が変わります。
免除申請しないとどうなる?
経済的に厳しい状況でも、免除申請をせずに保険料を**「未納」**にしてしまうと、さらに大きな問題が生じます。
老齢年金の受給資格期間を満たせない可能性: 年金を受け取るには、原則として10年以上の加入期間(保険料納付済期間と免除期間の合算)が必要です。未納期間が長くなると、この受給資格期間を満たせなくなる可能性があります。
障害年金・遺族年金が受け取れない: 未納期間が多いと、万が一の時にこれらの保障を受けられなくなります。
督促や財産差し押さえのリスク: 未納が続くと、年金事務所から督促状が届き、最終的には財産が差し押さえられることもあります。
**免除申請は、未納を避けるための重要な手続きです。**経済的に支払いが困難な場合は、必ず申請を行いましょう。
60歳以上で免除はできる?
国民年金の保険料納付期間は原則60歳までです。そのため、60歳以降は国民年金の保険料を免除するという概念は基本的にありません。ただし、60歳以降も年金の受給資格を満たせない場合や、年金額を増やしたい場合は、「任意加入制度」を利用して保険料を納めることができます。この任意加入の保険料については、免除制度の対象外となります。
それでも免除が必要な場合:賢い利用と追納の重要性
「そうは言っても、今はどうしても支払いが厳しい…」という方もいるでしょう。その場合は、免除制度を賢く利用し、将来に備えることが重要です。
必ず免除申請をする: 未納だけは避けましょう。年金事務所や市区町村の窓口で相談し、ご自身の状況に合った免除制度を申請しましょう。申請は、その年の7月から翌年6月までの期間分に対して行われます。
追納を計画的に行う: 経済的な余裕ができたら、積極的に追納を行いましょう。追納は、免除された期間の保険料を、当時の金額に一定の加算額が上乗せされて支払う形になります。加算額は時間経過とともに増えるため、追納するなら早ければ早いほどお得です。
追納のメリット:
将来もらえる年金額が増える。
追納した金額は、社会保険料控除として所得から差し引かれ、所得税や住民税が安くなる。
付加年金や国民年金基金の検討: 経済的に少し余裕がある場合は、将来の年金額を上乗せできる「付加年金」や「国民年金基金」への加入も検討してみましょう。これらは免除期間でも加入できない場合がありますが、将来の年金額を増やす有効な手段です。
まとめ:「免除しない方がいい」は、あなたの将来のため!
「国民年金は免除しない方がいい」と言われるのは、単に「お金を払った方が得だから」というだけでなく、あなたの老後の生活の安定や、万が一の際のセーフティネットを守るために非常に大切なことだからです。
現在の経済状況と将来の見通しをしっかり考慮し、最適な選択をすることが重要です。もし今、支払いが困難な状況であれば、**未納にするのではなく、必ず免除申請を行いましょう。**そして、将来的に余裕ができた際には、積極的に追納を検討し、老後の生活資金を確保していくことが、賢い生き方と言えるでしょう。
あなたの将来のために、今できる最善の選択をしてくださいね。