配置技術者の「名義貸し」が発覚する仕組みとは?罰則とリスクを徹底解説


建設業界において、工事現場ごとに国家資格者や実務経験者を配置する「配置技術者(主任技術者・監理技術者)」の制度は、工事の安全と品質を守るための根幹です。しかし、深刻な技術者不足を背景に、実際には現場にいない技術者の名前だけを借りる「名義貸し」という不正行為が後を絶ちません。

「少しの間だけなら」「工期が重なっているだけだから」という軽い気持ちが、会社全体の存続を揺るがす重大なペナルティを招くことをご存知でしょうか。

この記事では、なぜ名義貸しが行政や発注者にバレるのか、その具体的なメカニズムと、発覚した際の重い罰則、そして健全な現場運営のためのチェックリストを詳しく解説します。


なぜ「名義貸し」はバレるのか?監視の網が広がる理由

「現場にさえ来なければバレないだろう」と考えるのは非常に危険です。現代の建設業において、技術者の配置状況はデジタルデータと書面の両方で厳格に管理されています。

1. 施工体制台帳と「コリンズ(CORINS)」の照合

公共工事だけでなく、一定規模以上の民間工事でも作成が義務付けられている「施工体制台帳」。これに加え、一般財団法人日本建設情報総合センターが運営する「コリンズ(工事実績情報システム)」には、技術者の氏名や従事期間が登録されます。

行政当局や発注者は、これらのデータを横断的に参照できるため、**「同じ技術者が同じ期間に、物理的に移動不可能なほど離れた複数の現場に配置されている」**といった矛盾は、システム上で容易に検知されます。

2. 社会保険の加入履歴と給与支払い

配置技術者は、原則としてその所属会社と「直接的かつ恒常的な雇用関係」になければなりません。

  • 健康保険被保険者証のコピー

  • 標準報酬決定通知書

  • 給与台帳や源泉徴収票

    これらを確認された際、他社の社員であったり、社会保険の加入がなかったりすれば、即座に名義貸しが疑われます。いわゆる「名ばかり正社員」や「派遣会社からの安易な受け入れ」も厳しくチェックされるポイントです。

3. 現場巡回・立ち入り検査(コンプライアンス調査)

発注者や特定行政庁による抜き打ちの現場検査が行われます。

「主任技術者は今どこにいますか?」という問いに対し、現場代理人や作業員が答えられなかったり、本人が不在の理由が不明確であったりする場合、調査は一気に深まります。最近では、出勤管理アプリや顔認証システムとの整合性を問われるケースも増えています。


名義貸しが発覚した際の「取り返しのつかない」罰則

名義貸しは単なるマナー違反ではなく、建設業法違反という犯罪行為に該当します。一度発覚すれば、会社も個人も再起不能なダメージを受ける可能性があります。

会社側への制裁

  • 指示処分・営業停止処分: 一定期間、新規の入札参加や営業活動ができなくなります。

  • 建設業許可の取消し: 最も重い処分です。許可を取り消されると、5年間は再取得ができず、事実上の倒産に追い込まれる企業も少なくありません。

  • 欠格要件への該当: 役員などが刑罰を受けると、他の関連会社の役員にもなれなくなる連鎖反応が起こります。

技術者個人への影響

  • 資格の取り消し・停止: 施工管理技士などの国家資格が剥奪される、あるいは数年間の停止処分を受けます。

  • 刑事罰: 悪質な場合は、懲役や罰金などの刑罰が科されることがあります。


適正配置を維持するための「自主点検チェックリスト」

不正の意図がなくても、管理不足によって「結果的に名義貸し状態」になってしまうことがあります。以下のリストを使って、自社の体制を確認してみましょう。

確認項目チェック内容
直接的雇用配置技術者は、自社の社会保険(健康保険等)に加入している正社員か?
専任性の確認専任が必要な工事(公共性のある重要工事等)で、他の現場と掛け持ちしていないか?
常用期間入札の直前だけでなく、3ヶ月以上の恒常的な雇用関係があるか?
書類の整合性施工体制台帳、コリンズ、工程表の技術者名がすべて一致しているか?
実態の伴走技術者が現場の施工管理、工程管理、安全管理を実際に行っているか?

まとめ:正当な技術者の確保こそが「収益」を守る

技術者不足の中で工期を間に合わせようとする焦りが、名義貸しという禁じ手に走らせるかもしれません。しかし、その代償は、これまで築き上げてきた会社の信用と未来をすべて失うほど重いものです。

現在はICT施工の導入や、専任要件の緩和(監理技術者補佐の配置など)といった制度改正も進んでいます。不正に頼るのではなく、最新のルールを正しく理解し、正当な手段で技術者を確保・育成することが、結果として最も高い利益と企業の継続性を生みます。

コンプライアンスを遵守し、誇りを持てる現場運営を目指しましょう。


次にできること:

まずは現在動いているすべての現場の「施工体制台帳」と「コリンズの登録内容」を突き合わせ、重複や記載ミスがないか内部監査を実施してみてください。もし不安な点があれば、行政書士などの専門家に早めに相談し、是正措置をとることがリスク回避の近道です。


【保存版】建設業法における配置技術者の国家資格一覧|現場代理人・主任技術者・監理技術者の違いと必要資格を徹底解説



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