消費税の「仕入税額控除」ってなに?計算方法からよくある質問まで徹底解説!
「仕入税額控除」という言葉を聞いたことはありますか?事業をされている方なら一度は耳にしたことがあるかもしれません。
難しそうな響きですが、簡単に言うと「事業者が消費税を二重に負担しないための仕組み」です。
この制度は、消費税の計算において非常に重要な役割を果たします。特に、近年始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)を理解する上でも欠かせない知識です。
この記事では、消費税の**「仕入税額控除」**について、初心者の方にもわかるように、計算方法やよくある疑問をQ&A形式で解説していきます。
1. そもそも「仕入税額控除」とは?
仕入税額控除とは、事業者が納める消費税を計算する際、売上にかかる消費税から、仕入れや経費にかかった消費税を差し引くことです。
図で見てみましょう。
納める消費税額 = 預かった消費税額 - 支払った消費税額
例えば、あなたが商品を販売する小売店だとします。
お客様から**11,000円(消費税1,000円含む)**で商品を販売したとします。この時、あなたは国に代わって「消費税1,000円」を預かっています。
この商品を仕入れるために、卸売業者に**5,500円(消費税500円含む)**を支払ったとします。この時、あなたは「消費税500円」を支払っています。
この場合、あなたが国に納めるべき消費税額は、1,000円 - 500円 = 500円となります。
この「支払った消費税500円」を差し引くこと、これが**「仕入税額控除」**です。もしこの制度がなければ、あなたは支払った500円も負担した上で、預かった1,000円全額を納めることになり、二重の負担となってしまいます。
2. インボイス制度で変わったこと
インボイス制度が始まったことで、「仕入税額控除」を受けるための条件が厳格になりました。
以前は、ある程度の要件を満たした請求書であれば、仕入税額控除を受けることができました。しかし、現在は原則として**「適格請求書(インボイス)」**という特定の要件を満たした請求書が必要です。
適格請求書(インボイス)に記載されている主な項目
適格請求書発行事業者の氏名または名称
登録番号(T+13桁の法人番号など)
取引年月日
取引内容
税率ごとに区分した合計金額
税率ごとに区分した消費税額
この「登録番号」は、税務署に申請して発行してもらう必要があります。
3. 仕入税額控除に関するよくある質問(Q&A)
Q1:免税事業者との取引でも仕入税額控除はできますか?
A:原則としてできません。
免税事業者は「適格請求書」を発行できないため、免税事業者からの仕入れや経費については、原則として仕入税額控除を受けることができません。
ただし、制度導入から一定期間は、免税事業者からの仕入れについても一部控除できる経過措置が設けられています。
Q2:簡易課税制度を利用している場合でも関係ありますか?
A:直接的な関係は少ないです。
簡易課税制度を利用している事業者は、預かった消費税額にみなし仕入率をかけて納付税額を計算するため、個々の仕入れについて仕入税額控除を計算する必要がありません。
したがって、簡易課税制度を利用している事業者は、インボイスを受け取る必要はありません。ただし、自身の取引先が簡易課税制度を利用していない場合、相手からの要請に応じてインボイスを発行する必要があります。
Q3:仕入税額控除を受けるために、何をすればいいですか?
A:以下の2つのポイントが重要です。
適格請求書を必ず受け取り、保管する
仕入税額控除を受けるためには、取引先から交付された適格請求書を、法律で定められた期間(通常7年間)保管しておく必要があります。
経理処理をインボイス制度に対応させる
会計ソフトなどを活用して、インボイス制度に対応した経理処理を行いましょう。
まとめ:仕入税額控除はインボイス制度の要!
仕入税額控除は、消費税を計算する上でとても重要な仕組みです。
インボイス制度の導入により、仕入税額控除を受けるためには「適格請求書(インボイス)」が必要になりました。この変更を理解し、適切に対応することが、これからの事業運営において非常に大切です。
この記事を参考に、仕入税額控除とインボイス制度への理解を深め、スムーズな経理処理を目指しましょう。